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リトルタウンヒーロー 感想記事

 ポケットモンスターシリーズの開発を手がけるあのゲームフリークの完全新作RPG、村の中だけでお話が進行する、奥深い戦略性を持つターン制タイマンバトル、コンポーザーはUndertaleを作ったToby Fox氏に佐藤仁美さん?もうこれは買うしかねえだろ!

 

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てな具合で購入した『リトルタウンヒーロー』の感想記事。

 

 

 

 

奥深い戦略性を持つターン制タイマンバトル

 先ほど書いた「奥深い戦略性を持つターン制タイマンバトル」の部分に真っ先に触れておきたい。バトルの面白さがこのゲームの魅力の大部分を担っている。

 

バトルは以下の流れで進行する。

 

ターン開始
①プレイヤーとマモノ、互いにアイデアを思い付く
②プレイヤーは思い付いたフワット(アイデア)をガチットにする
③互いにガチットをぶつけあう
④マモノが使えるガチットが無くなると攻防終了
④-1マモノのガチットを全てブレイクしていた場合、オールブレイクが発生
④-2オールブレイク時に使える赤ガチットがあればチャンスターンに突入
オールブレイク時に使える赤ガチットが無ければブレイクポイントを得る
④-3チャンスターンは赤ガチットを1つ選択してマモノ本体にぶつけてダメージを与える 
⑤サイコロを振って村の中をすごろくのように移動する
ターン終了

 

これを繰り返しどちらかのHPが0になればバトル終了だ。 

 上記フローの全ての段階でそれぞれ考えることがあり、奥深い。

 

①プレイヤーとマモノ、互いにアイデア(フワット)を思い付く

 まずこの段階でどのようなアイデアを思い付くかによって、そのターンの戦略の方向性がある程度定まる。攻撃系のアイデアが多ければ、いかに敵を打ち崩すかを考える。敵のアイデアが強力過ぎて、とにかくしのぐことだけを考えた立ち回りになることもあるだろう。

 

 ②思い付いたフワットをガチットにする

 フワットをガチットにするにはキリョクというコストが必要になる。当然、強力なガチットであればあるほど、必要なキリョクの数は増える。どうやりくりして戦うかを考える必要がある。ガチットの中には、「ガチッとしたときに、他のガチットの攻撃力、耐久力を上げる」といった種類のものもあるため、ガチッとさせる順番も考える必要が出てくる。

 

③互いにガチットをぶつけあう

 ここでプレイヤーが考えるべきは、「マモノのガチットをブレイクする/しない」「自分のガチットをブレイクさせる/させない」「どういう順番でガチットをぶつけていくか」といったものが挙げられる。

 ガチットはブレイクされなかった場合、攻撃力&耐久力そのままで次のターンに持ち越しとなる。また、マモノのガチットの中には、ブレイクされたときにプレイヤーに対して不利益を与えるタイプも存在する。そのため、あえてブレイクしないことも時には重要になってくるわけだ。そしてこれはプレイヤーも同様だ。ブレイクされないようにして次のターンに持ち越すか、ブレイクされて新しいアイデアを入れるか判断する。そのためにはどういう順序でガチットをぶつけていくか?を考えていく必要があるのだ。

 

④マモノが使えるガチットが無くなると攻防終了

 ④-2オールブレイク時に使える赤ガチットがあればチャンスターンに突入
 オールブレイク時に使える赤ガチットが無ければブレイクポイントを得る

 状況によってはチャンスターンに入らず、ブレイクポイントを得る方が後々有利を運ぶことがある。ここでも判断が要求される。

 

⑤サイコロを振って村の中をすごろくのように移動する

 村の中にはプレイヤーを支援してくれるNPCやギミックが存在する。いずれも非常に有用でバトルの鍵となる。ただし、有効なタイミングが状況によって変わるため、これらに関してもいつ使うか?の判断が重要になってくる。「2ターン後にあのマスに止まろう」といった長期的な判断が問われる場面だ。

 

 大雑把にゲームプレイの流れについて書いてみた。詳しく書くと助長になってしまうので、ここでは詳細なルールやシステムの説明はほとんどしていない。とはいえ、けして複雑なゲームというわけでは無く、単純な要素の積み重ねによって奥深さを実現しているゲームだ。

 リトルタウンヒーローのバトルは、「〇〇をする/しない」、「するならどういう順番でするのか?」、「運に任せる/任せない」といった判断の連続で構成されている。常に適切な判断を問われるゲームというのは、少しとっつきづらいかもしれない。しかし、あーでもないこーでもないと考えた末に選んだ行動によって敵を打ち破る快感は他のゲームではけして味わえないものだ。

 このゲームをプレイしている間、思考をぶつぶつ呟いていたら家族に変な目で見られた。それでも長い戦いの末に強敵を打ち倒したときは、周りの目を気にせずガッツポーズして声を上げてしまうのだ。

 

 

 

ほのぼのとしたキャラクター達とストーリー

  「お話が村の中だけで進行する」という公式の発言通り、村の中だけでストーリーが進行する。多くのゲームではプレイヤーはやたらと世界を救いがちだが、このゲームはそういったお話とは少々違ったものを提供してくれる。別に世界なんて救わなくて良い、小さな村を守るだけでも胸を熱くすることは出来るのだ。

 キャラクターは皆、牧歌的な雰囲気を持っている。ギスギス、ドロドロしない人間関係には癒やしを感じる。また、他者に悪意を抱いたキャラクターが存在しないというのは、特筆すべき点かもしれない。

 ただ、のんびりとした雰囲気が苦手な人にはやや退屈に感じるだろう。実際、話を進行させるパートは、「〇〇に話を聞きに行く」「〇〇を手に入れる」といったものばかりでいわゆる「お使い」というべきものになっている。話自体の進行も非常にゆっくりで、1章掛けてゲーム内時間が1日しか進まなかったりする。

 

 

 

ゲームプレイをガチッと支える音楽 

 Toby Foxと佐藤仁美。考えられる限り最強クラスの作曲陣だ。Toby Fox氏が開発した「Undertale」はストーリーや独特のシステムもさることながら、その優れた楽曲でも高い評価を受けた作品だ。そんな楽曲群を作った彼がメインコンポーザーとあっては、このゲームの音楽には注目せざるを得ないだろう。そして佐藤仁美さんは、人生初作曲で「コトブキシティ」を作ったらしい。ほんとかオイ。天才過ぎるだろ。

 果たして楽曲のクオリティは総じて高い。Undertaleで主に使われていたチップチューンサウンドは鳴りを潜めている。しかし、それはToby Fox氏にとっては全く以て些細なことだったようだ。全編通して力強くキャッチーなメロディーでゲームプレイを強烈に牽引してくれる。また、佐藤仁美節ともいえる、ジャズサウンドが盛り込まれた楽しい戦闘曲もちゃんと用意されている。こちらには思わずニヤリとしてしまった。

 このゲームは「同じ敵と何度も戦ったりしない」「一体一体がボス戦扱い」といった仕様から、ボス毎に専用曲が用意されている。珠玉の戦闘曲を存分に味わうことが出来るのだ。Toby Fox氏が手がけた「Undertale」もボス毎に専用曲が用意されていたことを考えると不思議なシンパシーを感じる。

 このゲームはプレイヤーがじっくりと考えるように作られている。そうして長く考えている間に気持ちが萎えてしまわないよう、音楽がガチッと支えてくれるのだ。

 

 

 

色鮮やかなグラフィックと魅力的なキャラクターデザイン

 ゲーム全体の絵作りとして、鮮やかな色使いが特徴的だ。主人公のピッケルの髪の毛の色を始め、ビビットな色がふんだんに使われている。鮮やかな青さの空の下で敵と戦うのは開放感を感じさせ、気持ちが高揚する。各種攻撃やマモノが死ぬときに生じるエフェクトなども派手で爽快感がある。

 村人達の造形は個性的ながらも統一感があり、プレイを進めていくと愛着を覚えてくる。そうやって愛着のあるキャラクター達が戦闘でプレイヤーを支援してくれるのは嬉しいものだ。

 敵のデザインもそれぞれに特徴があり、バラエティ豊かだ。巨大な二本の触手を持つ大鯨、一本足で不敵に立つ怪鳥、不気味に笑う人形…やはりバトルに力を入れているためか、ボスデザインが多彩で飽きさせない。

 

 

 

些細な欠点

 ここまでに語った魅力の数々からすれば、些細な欠点だが、一応触れておこう。操作性がシンプルに洗練されていない。操作キャラクターが反転移動するときにスゥーっと棒立ちのままスライド移動したりする。カメラも上下リバース&速さ固定で遊びにくい。会話中の選択肢が表示されてから選択可能になるまでやたら遅い。体感で1秒くらい待たされる。同じく、バトル中に村の中を移動する際の操作もやたら固い。

 また、ストーリー進行中に別の場所に行こうとすると毎回止められる。これに関しては強制でどんどん進めるか、適当に壁を作ってしてしまえば良かったと思う。さらに、前述した通り、ストーリー進行はやや退屈だ。また、サブクエストにもその傾向がいくつか見られる。

 最後に、最適化がうまくいっていないのか、頻繁に処理落ちする。処理落ちした際、BGMがぶつぶつしてしまうのが非常に勿体ない!

 

 

 

 

まとめ

 個人的には大当たりだ。「ほとんどボス戦だけ」「戦闘後に頭を使いすぎて疲れる」「常に歯応えがある」、こんなゲームが遊びたかった!なるほどポケモンを作り続けてきただけはある。老舗のRPG開発会社の実力を見せつけられた。

 

  • 奥深く戦略性のあるターン制タイマンバトルの楽しさは本物
  • 牧歌的なキャラクター達に癒やされる
  • Toby Fox氏と佐藤仁美さんの音楽が抜群に良い
  • 鮮やかな色使いのグラフィックが目を惹く
  • 操作性の悪さや最適化不足など洗練されていない部分が少し気になる
  • 総プレイ時間は寄り道しつつ遊んで20時間~25時間
  • お値段たったの2500円!(税抜き価格)

 

じっくりと考えるバトルが楽しみたいという人には間違いなくオススメできる。

 

 

 

 

 

 

おしまい