『不正勇者』というゲームを作ったので振り返る。
制作動機
Unity1週間ゲームジャム(通称unity1week)という素晴らしい催しがあるのだが、最近それで投稿された作品をあまり遊べていない。全然遊べていない。
ゲームジャム投稿作品を遊ぶのは、勉強になったり、ゲーム作りたくなったりといいことがあるのでなるべく遊びたい。でも最近は他のこと優先して遊べていない。よくない。
unity1week投稿作品を遊ぶモチベーションとして、一番大きかったのは、やはり相互評価機能によるものだった。相互評価機能とはなにかというと、ゲームジャムにゲームを投稿したゲーム開発者──参加者達が、お互いの作品を評価し合うようにするための仕組みだ。自分が投稿したゲームが他の参加者によって評価されると、その参加者の投稿ゲームが表示される。「あなたのゲームを、この人が評価しましたよ(お返しにこの人のゲームを遊んでみませんか)」といった具合だ。
僕がunity1week投稿作品を遊ぶモチベとして大きかったのが、この相互評価機能によるものだったなあと思ったわけだ。
というわけで、unity1weekにゲームを投稿することにした。僕はunity1weekに二度と参加しないとかなんとかぬかしていたのだが、アレはウソになった。ごめんなさい。
制作スケジュール
お題発表前日(日曜日の夜)
今回の開催スケジュールは12月20日(月)00:00~12月26日(日)20:00だった。お題は0時に開催と同時に発表される。したがって、ここで主に二通りの行動パターンがある。
- お題発表前に寝て英気を養い、月曜の朝にお題を確認する
- 0時まで起きてお題を確認してから寝る
僕は今回2だった。お題「正」を確認して、正を含む言葉をいくつか調べてゲーム内容に多少アタリを付けてから寝た。
なお、主に二通りの行動パターンと書いたが、たまに頭のイカれた猛者が、そのまま動くモノを作って遊びの核が面白いかチェックするくらいまでやったりしているときがある。
あとはそもそも開催を知らなくて、開催が始まってしばらくしてから気付く人もいたりする。主催者のないちさんのツイッターアカウントフォローしなさい。
寝る前に考えたヤツ
で、寝る前に少し調べたわけだが、その中でなんとなくゲームにできそうなモノを考えた。
- 正月(最悪フレーバーとして被せればどんなゲームでもお題成立
- 羽子板(バレーボール的なゲーム
- 正誤(正誤問題系。よくありすぎるので自分はやる気にはならないけども
- 厳正中立(敵にも味方にもならない。第三陣営として振る舞うゲーム?
- 正体,正真正銘(自分が本物だと証明するゲーム。偽物と競争したり。
- 正当防衛(自分が攻撃されてからじゃないと攻撃できないゲーム
- 正々堂々(不意打ち禁止
- 不正(ズル。ズルは楽しい。
- 正面(風来のシレンの正面戦士みたいな。背中に制約が付くタイプ
- 正夢(未来を変えるゲーム?
- 校正(文章を直すゲーム
- 更正(更正させる
- 正気(ホラー系
- 正方形(最悪、セイホウケイの冒険とか言って正方形操作する2Dプラットフォーマーに……
- 正鵠を射る(急所を突くゲーム
不正(ズル)に惹かれつつ、最悪の場合は正月フレーバー被せるかセイホウケイの冒険にしちゃおうかなとか考えつつ寝た。
あとは鏡餅のモチ部分に触れないようにミカン部分に触れるゲームとか。これはモチーフの納得感置き去りで見た目に注目しただけのネタだけど。
月曜日(初日)
不正勇者とかいいかなあと考え出す。
- 「不正」コマンドでぶっとんだことが起きる→それを駆使して攻略
- 不正しすぎると業が溜まっていく。溜まりすぎるとゲームオーバー
- (勇者的に)正しい行動をすると業が減る
モチーフの納得感が少しある。ただ脳内プレイだとこれでは面白くない。不正でぶっとんだ現象が起きるのが楽しいけど、それを起こす→障害突破を繰り返すだけになる。現実的に調整しようとすると、ぶっとんだ感じがなくなって魅力ダウン。
不正を使用回数制限+枠制限にするのはどうか。HP無限化は一回しか使えない。とかどうか。いや、これもやっぱり面白くない。しかも「不正」が使用回数決まってて使用枠があるってなんやねん。モチーフの納得感が遠のくぞ。というわけでこれも無し。
とかなんとかボーッと考えて初日終了。Unity起動してない。
火曜日(二日目)
引き続きボーッと考える。
フィールドイベントで正しい行動か悪い行動か選ぶ。例えば、落とし物のゴールドがある。ネコババすると業が溜まるけど、ゴールド獲得。自分の状態と今後の展開を見据えて選択を考える遊び。でも、これってなんかよくありそうなゲームになってるな…?
と、よく考えたらこの「不正」ネタ、ありきたりで使い古されたテーマだなと気付き始める。でもまあ、自分で実際に作ってみるとまた違うし、それに今回は投稿するのが目的だから…と、ちょっとモチベ下がり気味に。
少し閃く。「不正」コマンドを一つだけにして、実行する度にランダム効果が発生する【パルプンテ】スタイルにするのはどうか。これはまあまあ良さそう。ランダムな不正現象に対して、徐々に理解を深めていくゲームになる。
でも(僕が好む)戦術的な深みを出すには、もう少し要素が足りないなあ。と感じる。
二日目終了。やはりUnity起動せず。
水曜日(三日目)
そろそろ実装しないと間に合わなくなりそう。ってことで、Unity起動。一応、ここでちゃんと参加することを決心した。
「どうせあとで作るハメになるから」という理由でフィールド部分から作り出す。これはふつーにアホだった。やりたいこと──不正を使うゲーム体験から作るべきだった。そのほうがやっぱりモチベーションが高い。
結局ダラダラ作ってバトル部分はほぼ手つかずで三日目終了。
木曜日(四日目)
面白さの確信が持てていないのでイマイチ手が動かない。でもなんとか肝心の「不正」部分の実装を終える。
金曜日(五日目)
不正コマンドをテストプレイ。連打してると絵面がぐっちゃぐちゃになるのが面白い。わはは。
一応、しっかり練りこめば戦術的な面白さをすこーしだけ作れそう。でもunity1weekだしカジュアルでいいかもなーと考える。よって業が増えても特にペナルティなしで、最後に称号だけ変わる仕組みにすることに。
土曜日(六日目)
『ユウゴウパズル』面白え~。
あ、ゲーム作らないと。フィールドとバトルの曲を作った。
日曜日(最終日)
タイトル画面とか、気になったところをちょこちょこ弄って終了。
どうせカジュアルにするなら、ゲームオーバーなしにしようかと思ったけど、それをやると流石に虚無ゲーすぎるのでやめた。スタンスがブレブレだなあと思いつつ、肩の力を抜いてサクッと投稿完了。
今回考えたネタについての考察
抽象化すると、【超強力なコマンドを駆使して戦うターン制バトル】みたいな感じ。ぶっとんだ能力が魅力。
ただ、やっぱり強すぎると結局それ使えばあっさり勝てる作業ゲーになる。難しい。『Slay the Spire』なんかも似たようなゲーム性だけど、あちらはゲームが壊れるまでに上手く選択を積み上げないといけない&運が絡むのでいつもゲームが壊れるわけではない。とかしっかり制約あってこそ。
ズルは公平である(とされている)前提あってこそ楽しい。
ゲーム的な制約を付けないなら、フレーバーを重視するのがいいだろう。例えば、恋人が魔物化してしまう。恋人に頼ると強力な敵を瞬殺できるが、恋人の魔物化がより進行してしまう。頼りすぎると恋人が魔物になってしまいバッドエンド。みたいな。
ただ、こういうタイプに寄せるにしても、いや、寄せるならより緻密なゲームバランスが求められるだろう。「頼らざるを得なかった」とか「頼りたくなったけどなんとか乗り切った」とかそういう絶妙なバランスの上で成り立つ体験が必要になってくるからだ。
やはり気軽にゲームを壊せてしまうとゲームが成立しない。Slay the Spireみたいに正しい選択を積み重ねた結果としてゲームが壊れるような展開がベターなのかな。難しい。
パルプンテスタイル
もう一つ、パルプンテスタイルについても考える。
こっちは結構面白い芽が出そうな雰囲気はある。
【確実だけどやや弱い行動】と【不確実だけどやや強い行動】の二つの対比で、戦術的に深みのあるバトルが作れる……かもしれない。
コマンドバトルの文脈でダイスロールやドロー的なシステムになる。まあ、それこそドラクエのパルプンテがそうだし、ポケモンの【ゆびをふる】とか、似た仕組みはいくらでもあるけどね。『Dicey Dungeons』の魔女とか。
こっちは前者の「ぶっこわれコマンド」よりも使いやすそうではある。
というわけで、ネタの種を考える機会としてイイ感じにunity1weekを利用できたと思う。別にこれを発展させる予定は今のところないけど。
参加動機は別だけど、思いつきを試す場としてunity1weekに参加できて満足。
ここまで作ったあとに書いた
いただいたコメントとか評価結果とか
いただいたコメント、だいたいは「不正のリアクションいいね」みたいな感じ。まあそこしか言及するところないからねこのゲーム……
あとは初代ドラクエ的雰囲気が懐かしかった人とか。
業0プレイもやってくれた人が何人か居たみたいでありがたいけど、そこもっと楽しく作ってないのはやっぱりちょっと怠慢だったかなーと。
コメントありがとうございました。
#unity1week
— がむしゃら (@GMshara_) January 9, 2022
評価でました。拙作『不正勇者』は評価時点で、
総合:3.975(26位)
楽しさ:3.69(50位以下)
絵作り:4.148(45位)
サウンド:3.88(37位)
操作性:3.817(39位)
雰囲気:4.141(32位)
斬新さ:4.176(7位)
でした。プレイ&評価して下さった方々、ありがとうございました。 pic.twitter.com/me2jZkCjEz
評価は上記ツイートどおり。まあ納得かなー。
楽しさは上にも書いたとおり、ほとんど作った意識が無い。
絵作りはこんなに手を抜いても4越えるのかって感じ。初代ドラクエに乗っかったのが大きかったかな?
サウンドは精進したい。
操作性はゲームが良ければ上がる数字だろとか思っている。わりと大きめに配置したコマンドをクリックするだけのゲームで操作性もクソも無いので。
雰囲気はまあ絵作り×サウンドみたいな感じだろうから。
逆にこれで斬新さ7位はチョロ…
全体的にこんだけ手抜いてもここまでいけるんだなあみたいな印象だった。以前参加してたときは、毎回のように今回の3倍くらいは張り切って作ってたからね……
おわり
unity1week投稿作品を遊ぶモチベが欲しくて参加して、ついでにネタのタネもちょっと試せて満足。このタネが花開くかどうかは今後次第だけど、今のところあんまりやる気ない。でもターン制バトルゲームのネタのタネはなんぼあってもいいからね。
今度からはわざわざ作品投稿しなくても遊ぶモチベを得られるようにしたいな~。
遊んだゲームの振り返りはnoteに書いておいた。
おわり