この記事は、ゲームキャストさん主催の好きなゲームの紹介文・感想文を書くコンテストに応募した記事だ。 素敵なコンテストを主催していただいたゲームキャストさんにはこの場を借りてお礼を申し上げたい。ありがとうございます。
それでは早速だが、フリーゲーム投稿サイト unityroomをご存じだろうか?このブログで何度か取り上げさせていただいているサイトだ。ゲームエンジン「Unity」で作られたゲームを投稿したり遊んだり出来るサイトで、投稿されたゲームはダウンロード不要、ブラウザ上で無料で遊ぶことが出来る。
この記事を執筆している2020年2月15日時点で、投稿されたゲーム数は5547タイトルだ。今回はその中から僕が好きな推しゲームを5タイトル紹介しよう。
ASTEROID BREAKER(アステロイドブレイカー)
まず最初に紹介するのは、いかに連鎖するか?いかに生存するか?が魅力の高難易度シューティングゲーム、ASTEROID BREAKER(アステロイドブレイカー)だ。
シューティングゲームといっても、クリアは無く、スコアをどれだけ稼げるかを競うスコアアタック型のゲームだ。プレイヤーが出来るのは、キーボードの←・→キーで左右に動き、スペースキーでショットを撃つことだけ。プレイヤーはこれらのアクションを駆使して、画面上部から降り注ぐ隕石を躱したり破壊したりしてスコアを稼ぐ。
爆発×爆発=連鎖!
降ってくる隕石は大きいのから小さいのまで、大小様々だ。隕石の大きさは5段階あり、ショットを当てると1段階小さくなる。
そして最も重要なのが、一番小さい段階の茶色の隕石だ。この茶色の隕石にショットを当てると爆発を起こし、360度ランダムな方向に5つショットが飛び散る。
この飛び散るショット、状況によっては大した変化は起きないかもしれない。だが、これが周囲に茶色の隕石が複数存在する状況だったら…?飛び散ったショットが茶色の隕石に当たって再び爆発を起こし、またショットが飛び散る。爆発が更に爆発を引き起こし、画面内の隕石が全て一掃されてしまうほどの大連鎖に発展するのだ。もちろん、隕石を躱すためにも茶色の隕石を撃つのは重要になる。ショットが当たれば隕石は一回り小さくなるし、しばらくその場に止まるからだ。
スキマを作れ!
では、プレイヤーは茶色の隕石を狙ってどんどんショットを撃っていけば良いのか?話はそう単純では無い。プレイヤーが撃てるショットには大きく制限が掛かっている。ショットは最大で5発しか装填されておらず、装填数の回復は一定時間毎に1発だ。この一定時間というのが曲者で、やたら時間が掛かる。何も考えずにショットを連発しているとあっという間に撃てなくなってしまうのだ。したがって、ショットを撃つのは連鎖を狙う、ここぞ!というときだけにした方が良い。ショットの撃ちどころを見誤れば、たちまち隕石に押しつぶされてしまうだろう。
隕石を躱すために重要になってくるのが、「ショットを当てた隕石は、しばらく落下が止まる」システムだ。隕石は大小に関係なく速度がランダムとなっていて、隕石間の速度差が大きいほど、隕石と隕石の間に隙間が生まれ、躱しやすくなる。そのため、隕石毎の速度の違いをしっかりと把握しつつ、ショットを撃つべき隕石を見極めていくのが生存のコツだ。
ショットを撃って隕石を一瞬止め、隕石間の速度差を生み、隙間を生じさせる。最小限のショットで隕石の間を縫うように動いて躱していくのだ。
このゲーム、隕石の出現頻度は最初から常に一定だ。つまり開始から難易度が変化しない。ゲームはプレイヤーに適切な達成感を味わってもらうために、進行度に合わせて難易度を変化させることが多い。そのため、手慣れたプレイヤーにとっては序盤が退屈に感じるゲームが多かったりする。しかしこのゲームでは、最初からプレイヤーは全力を駆使することが求められるのだ。最初のうちは30秒と持たずにやられてしまうかもしれない。だが、何度も繰り返しプレイしているうちに、隕石の隙間を掻い潜るスリルや、連鎖の爆発に快感を覚えるようになるだろう。
絶望的な量の隕石を最小限のショット数で捌き、チャンスを逃さず大爆発を狙う。それは正に物語に出てくるエースパイロットのようなゲーム体験だ。技巧派なシューティングゲームをぜひ一度プレイしてみてはいかがだろうか?
ASTEROID BREAKER(アステロイドブレイカー)を遊ぶ
プレイ時間目安:10秒から10分以上(腕前によってはいつまでもプレイ出来るだろう)
デーモンライン
いきなり難しいゲームを紹介してしまったので、今度はもっと優しいゲームを紹介しようと思う。 そうだな…悪魔となって魔物を送り込み、人間を滅ぼすゲームなんてどうだろうか?
よ~し、いっちょ滅ぼしてみっか!
デーモンラインは悪魔となって人間を滅ぼすゲームだ。プレイヤーがやることは至って単純、魔物を「召喚」して、人間の居る場所に「転送」するだけ。いずれもマウスクリック一回で出来る。簡単!
「召喚」と「転送」はクールタイムがあって、一度選択するとしばらく選べない。が、この辺りは深く考える必要は無い。このゲームは、送られた魔物に対する人間達のリアクションを見て楽しむゲームだからだ。
イかれていくメンバー紹介するぜ!
これから破滅させられる人間達を紹介しよう。
かなり個性的なメンツである。魔物が出没したときに、彼らがどんなリアクションを取るのか、気になってはこないだろうか?リアクションは各キャラクターのつぶやきとしてテキストで表現される。台詞の端々にそのキャラクターの個性が現われていて、面白い。パターンがかなり豊富なため、1回のプレイでは全てのテキストを観測することは出来なかったりする。
とはいえ、醍醐味はやはり如何に狂うかである。ちょっと一例を出してみよう。
優れたテキストセンスで彩られる人間達のリアクションは、どこか微笑ましかったり、たくましかったり、恐ろしかったりするものだ。ぜひ観察してみてほしい。この人間はどんな性格なのか?といったことを想像しながら遊ぶとより楽しめるだろう。テキストしかないからこそ、想像するのが楽しい。
デーモンラインを遊ぶ
プレイ時間:7分前後(人間をもっと観察するならこれよりも長くかかる)
収集蛸腕(しゅうしゅうたこかいな)
優しいゲームを紹介する、そんなことを言っておいて悪魔的なゲームを紹介して申し訳ない。今度こそちゃんとする。次に紹介するのは収集蛸腕(しゅうしゅうたこかいな)~ColleOctor Girl~だ。ちゅうちゅうたこかいなとCollectorをもじった激ウマギャグだ。
概要:タコ娘を操作するゲーム
収集蛸腕はマウス操作オンリーのオタカラ収集アクションゲームだ。プレイヤーは5本の触手を持つタコ娘を操り、4分以内に暗い海の底を動き回ってステージに配置された全てのオタカラを集めるのが目的だ。
プレイヤーが操作するタコ娘は、オブジェクトをクリック(長押し)すると、触手を伸ばしてそのオブジェクトを掴む。掴むことが出来るオブジェクトは以下の3種類。
1.岩
役に立たない邪魔な障害物。場所によっては上手くどかして道を空ける必要がある。大きさによって動かすのに必要な触手の数が変わる。
2.スイッチ
掴むことで近くに設置された扉が開く。場所によってはスイッチの数が3つ、4つと多くなり、触手を上手く使う必要が出てくる。
3.オタカラ
目標物。触手で掴むと自動的に入手できる。ものによって得られるスコアが違う。
岩をどかしたり、スイッチを掴んで扉を開けたりしてステージを探索しつつ、オタカラを集めていく。これがゲームプレイの基本的な流れだ。
それでは、ここからはこのゲームのどういった部分が面白いのかを詳しく説明していく。主にテクニック・戦術・運といった3つの観点から説明しようと思う。前提として、このゲームを可能な限り速くクリアしようと考えた場合に生じる観点だ。
テクニック:速さと正確さのトレードオフ
トレードオフとは、両立できないものを意味する。「あちらが立てば、こちらが立たず」だ。このゲームでは、マウス操作の速さと正確さがトレードオフの関係になっている。岩・スイッチ・オタカラ、いずれのオブジェクトも掴もうとする際は、そのオブジェクトの中心をクリックしなければいけない。早くクリアしようとするなら、オブジェクトの中心点に可能な限り素早くマウスカーソルを合わせてクリックする必要がある。だが、マウスカーソルを速く動かしすぎると、正確さは失われる。これは何もこのゲームに限った話では無い。現実世界のありとあらゆる動作は、このトレードオフの関係を有している。針穴に糸を通そうと思ったら、指先をゆっくりと慎重に動かすのが当たり前だ。
繰り返し反復し、トレードオフを崩していく。それこそが上達だ。素早く、かつ正確にオブジェクトを掴めるようになっていく度、クリア時間は短くなっていく。収集蛸腕では、全てのオタカラを回収した際に、残り時間がそのままスコアに変換される。つまり、速くクリアすればするほど、スコアが高くなる。こうしてプレイヤーの上達にしっかりと報いてくれるわけだ。
戦術:どのルートで回収していくか?
テクニックは大事だ。だがそれが全てでは無い。収集蛸腕では、オブジェクトの配置は固定だ。また、全てのオタカラを回収した時点でゲームクリアとなる。そのため、どういったルートでオタカラを回収していくか?という点も重要になってくる。スイッチを掴まなければ開かない扉の存在によって、いくつかの道は一方通行になっているため、ルート考案は重要な要素となっている。
繰り返し遊んで上手くなるだけで、速くクリア出来るようになるとは限らない。大胆な発想の転換によって新たなルートを発見し、タイムを縮める面白さもあるのがこのゲームの魅力の1つだ。
運:微弱なゆらぎ
収集蛸腕では、タコ娘の挙動は常に同じとは限らない。オブジェクトをクリックしたとき、どの触手を伸ばすかはランダムだ。画面内をクリックして移動する際も、常に同じ速度や動きをするわけではない。微弱ながら違いが生じる。
この微弱なゆらぎともいえる運要素によって、同じ操作をしても同じ結果になるとは限らなくなる。 思うに、多少のランダム性は繰り返し遊べるゲームを作る上で無くてはならないものなのだ。同じ操作をすれば必ず同じ結果になるのなら、繰り返し遊ぶ楽しさが少し薄れてしまうだろう。とはいえ、運要素の影響はあくまで微弱だ。そのため、プレイヤーが上手く操作すればどうとでも修正できる。また、そもそもそうした運要素が影響しないようなルート・操作手順を確立してしまえばいい。テクニックと戦術で、運をねじ伏せよう。
余談:最初の部屋の設計
初代ドラゴンクエストの最初の部屋が、とても良く出来た設計なのを知っているだろうか?あのゲームは最初の部屋を出るまでに、ゲームの目的とコマンドの使い方を学べるように作られているのだ。そして、収集蛸腕でもそれは行われている。最初の部屋で、ゲームの基本が学べるようになっているのである。
最初の部屋に配置してあるオブジェクトは、岩、岩の奥にオタカラ、扉とスイッチ、このゲームに登場する全種類のオブジェクトが揃っている。ゲーム開始時に岩とオタカラに手のアイコンが表示されており、プレイヤーは岩をどかしてオタカラを手に入れるゲームの基本的な流れを学ぶことが出来る。
また、オタカラ入手時に左上と右上に表示してある数値が変動するので、このオタカラを集めるのがゲームの目的だと分かる。その後、上に行くと開かない扉に出くわす。が、すぐにスイッチの存在に気付き、スイッチに触れると扉が開くことを学ぶはずだ。
と、このように収集蛸腕はステージの設計が非常に優れたゲームだ。そして、速さと正確さのトレードオフによってプレイヤーの上達に報いるゲームデザインがなされている。また、ルートを考案する戦術的視点からの楽しみ方、微弱な運要素などによって、繰り返し遊ぶのが楽しいタイトルになっている。
プレイ時間:4分(テクニック次第でどんどん短くなる)
メビウスの心臓
突然だが、あなたは過去に戻れたら何をするだろうか?高祖父の結婚相手を変える?好きだったあの人に告白する?死ぬはずだった人を救って歴史改変?
メビウスの心臓の主人公は、過去の自分自身を殺すために過去に戻る。だが、タイムリープは不完全だった。過去の自分に宿るはずだった意識は、別の人間に宿ってしまう。意識を宿した肉体は最愛の女性、ミコトのものだった。
なぜ自分を殺そうとするのか?なぜ意識が最愛の女性の体に宿ってしまったのか?大きな謎と共に始まる物語。プレイヤーを引き込むめくるめく展開。徐々に明かされていく過去と、謎。タイトルに込められた意味とは?SF、恋愛、ミステリー、サスペンス、哲学、あらゆる要素を含んだ物語で、一度読み始めたら止まらない傑作ノベルゲーム。
メビウスの心臓を遊ぶ
プレイ時間:1時間(あっという間に終わる)
BigBakyuun プレビュー版
最後は再びシューティングゲームの紹介をして終わろうと思う。BigBakyuun プレビュー版の紹介だ。プレビュー版と付いているが、現時点でもその面白さは本物だ。
プレイヤーはマウス操作で機体を動かす。クリック長押しでチャージして、離すとショットを撃つ。クリアは無く、3分間スコアアタックをするシューティングゲームだ。そして、ショットを連発するタイプのシューティングでは無く、1発1発考えて撃つタイプのシューティングだ。うん。そうだ。また技巧派シューティングゲームの紹介だ。そしてまた連鎖が重要になるゲームだ。
★お役立ちアイテム情報★
BigBakyuunでは、敵にショットを当てるとその場に爆発が起こる。その爆発に他の敵が当たってまた爆発を起こし…という風に連鎖が起きるシステムになっている。ただしゲーム開始直後では、大きなスコアアップには繋がらない。
ではどうするのかというと、敵が落とすアイテム(上の画像内に映っている、黄色い八面体)の出番だ。敵が落とすアイテムには、以下の4つの効果がある。
1.次に撃つショットが1発だけ強力になり、ボーナスも増加する
2.一瞬だけ無敵になる
3.スコアがもらえる
4.一定数アイテムを集めるとチャージ速度が上昇する
そして重要なのが、アイテム同士がぶつかると、一つになって巨大化していくシステムだ。アイテムが集まって大きくなればなるほど、アイテムを取得したとき、「次に撃つショットが1発だけ強力になり、ボーナスも増加する」の効果がより増す。ここで言っている「ボーナス」とは、得られるスコアと敵が落とすアイテムの量のことだ。
「面白い」の無限ループ
巨大化したアイテムを取り、強化されたショットで敵を一掃する。すると、倒した敵がボーナスによってアイテムを大量に落とす。散らばったアイテムが集まって巨大化する。巨大化したアイテムを取り、強化されたショットで敵を一掃する。するとまた倒した敵がボーナスによってアイテムを大量に落としてアイテムが巨大化して…と、強化ショットを延々と撃ち続ける無限ループに入る。これが非常に楽しい。
上手く立ち回れば、画面を埋め尽くす大量の敵が、スコアを稼ぐための養分に見えてくる。当然、敵が増えれば危険も増すが、ここでアイテムの、「一瞬だけ無敵になる」効果が活きてくる。素早く敵の群れを掻い潜ってアイテムを回収して無敵になりつつ、隙を見て連鎖を狙う。やはり気分はエースパイロットだ。
ちなみに、アイテムは巨大化を狙うだけではない。「一定数集めることでショットのチャージ速度が上昇する効果」があるため、序盤は巨大化を狙わずに回収していく立ち回りが推奨される。また、クリア(3分経過)した際に、取得したアイテム数に応じてボーナスが入るシステムがある。つまりハイスコアを狙う場合、単に巨大化だけを狙っていては駄目で…ってどんだけ奥深いんだこのゲーム。ちなみに、グラフィックとサウンドも相当クオリティが高い。タイトル画面のBGMがかなり好きだ。
奥深いゲームゆえか、遊んですぐには魅力が分からないかもしれない。しかしひとたび遊び方が分かれば、延々と遊び続けられるポテンシャルを秘めたゲームだ。
プレイ時間:30秒~3分(3分遊べるようになってからが本番だ)
いかがだっただろうか?1タイトルでも興味を惹かれてプレイしてくれたなら幸いだ。今回紹介したタイトルは割と何回か面白いと言っているタイトルなのだが、今回改めてしっかりと紹介文を書いてみた。そして思った。自分が好きなゲームの話は何回しても飽きることが無い。
今回紹介した5タイトルのうち、収集蛸腕(しゅうしゅうたこかいな)、メビウスの心臓、BigBakyuun プレビュー版の3タイトルはUnity1週間ゲームジャムというイベントで作られたゲームだ。Unity1週間ゲームジャムは、1週間でゲームを作ってunityroomに投稿し、みんなで遊ぶお祭りだ。
次回開催日は2月24日(月)。もう開催まで10日を切っている。興味があれば参加してみてほしい。ゲーム作りに興味は無くても、3月1日(日)の20:00に一斉投稿される多種多様なゲームを遊ぶだけで楽しめるイベントだ。
おわり