がむしゃらメモ

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Return of the Obra Dinn プレイ感想メモ

 Return of the Obra Dinn、やっぱ感想を書いて振り返っておいた方が良い気がしたので書いておく。さらっとメモ書き程度に済ませるので、今回はかなり自分用の文章という側面が強い。まあいつものことだけど。

 プレイ時間は10時間ほど。自力で乗船者60名の身元を特定することが出来た。推理するゲームでプレイヤーが自力で完全クリアできる。その事実だけで、その推理ゲームが如何に優れているかの証明になる気がする。

 

 

 

ネタバレは無いので、安心して読めますよ。未プレイの方が読んでも何の意味もありませんが…

 

グラフィック

 1bitのアートスタイルが強烈な個性を放っている。なんでも古典コンピュータゲーム時代のグラフィックをリスペクトしているそうだが、それらを全く知らない僕でも魅力的に感じた。時代を問わない良さがあると思う。また、このゲームは1800年代の話なので、そうした背景ともマッチしている。

 

サウンド

 品質が高く、非常にリアルに作られている。冒頭の、船に乗るために梯子を上るシーンのサウンドからして良さが分かる。木の質感がそっくりそのまま伝わってくるかのようだ。乗船するとサウンドから伝わってくるオブラ・ディン号の実体感。はためく帆に軋む船体、波の音…声優の演技も圧巻だ。死を目の前にした緊迫感が伝わってくる。

 

演出

 死のシーンが非常に良く出来ている。真っ暗な画面の中央に人物のセリフが書かれ、声や物のぶつかる音だけが響く。そして、おとずれる死の瞬間。おどろおどろしいサウンドと、切り取られた人の死。雨粒の一滴一滴まで丹念に描かれた画面に、感嘆した。また、実に多様な死にざまを見せてくれるので、飽きない。ある人の死からまた別の人の死へと渡るシステムが、プレイヤーが飽きないようにするのに一役買っている。

 手記の説明、安否情報更新の瞬間や、エンディングのシーンなど、音と動きを連動させた演出も巧みに出来ている。

 

手記

 手記のシステムが良くできていて、遊びやすい。人物の前で手記を開けば、その人物が描かれている絵に移る。死の前で手記を開けば、その死の場面を記したページへ移る。ある人物が登場するシーンを追いたいと思えばブックマークさせてくれる。やりたいことが出来るように手助けしてくれる。

 チュートリアルが秀逸。プレイヤーに見てほしい箇所以外は黒くして映さない荒業を使っている。そして、その様子を動きと音で楽しませてくる。推理難易度の明示もグッド!

 

推理

 3人の身元と死因を特定すると、情報が確定して正解だと分かるシステムが良く機能している。このシステムは、

 

当てずっぽうを適度に許さず、適度に許す

 

ように作られていると思った。1人、2人当てたら正解になるのであれば、当てずっぽうで解いてしまえるかもしれない。だが、60人全員特定する必要があるとなると、ガチガチの推理ゲームになるだろう。3人は絶妙だ。

 そもそも、選択項目が豊富なので当てずっぽうは難しい。人物数60人に死因数47種類、60×47で2820通り。当てずっぽうはまず不可能だ。

 また、このシステムは、2人確実に特定しておいて、特定に至らない3人目に消去法を仕掛けるといった芸当も可能だ。このようにシステムを上手く利用している感覚も楽しかった。消去法は製作者側も推奨していて、消去法でしか特定出来ない人物が何人か居る。ゲーム側が推奨してくれるので、プレイヤーは罪悪感や迷いを抱かずに済む。

  あらゆる死の瞬間を見ていくことで、初めは名無しの権兵衛だった人物が、徐々にその姿を浮かび上がらせてくる。「ここにもいたのか」とか「このときこれをしていたのか」といった再発見が楽しめる。実にユニークで面白い体験だ。

 推理に対するアクセスの豊富さも良い点だろう。死の瞬間、スケッチ内での立ち位置、見た目、国籍、あらゆる情報が推理に役立つ。

  名前や役職が明確に分かるシーンがある。から始まり、使っている言語や細かな呼びかけ方などの発言内容からの推理、死の瞬間の入念な観察による発見。スケッチでの立ち位置や風貌、船内図の読み取り、そして消去法。推理の難易度を徐々に高め、最後に消去法で緩めるレベルデザインが巧みで、一気に遊ぶことが出来た。

 

 

 当てずっぽう、総当たりに消去法と、この手の推理アドベンチャーゲームで問題となるであろうポイントに明確に答えを出し、ゲームシステムにしっかりと組み込んでいる点が非常に素晴らしい。この手のゲームを遊んだことがほとんどないので、見当違いな視点かもしれないが。

 

 

おわりっ!