がむしゃらメモ

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共同制作っぽいことをやってみて思ったこと

 そういえばつい先月(2021年4月上旬頃)に共同制作っぽいことしてたんですよ。もう既に解散しましたが。ゲームは制作途中だったので当然未完成でお蔵入りです。まあただの2Dボスバトルアクションで、別に劇的に面白いものではなかったので惜しくはないんですけどね。

 

で、要は短い期間ながら共同制作っぽいことをしたわけなんですよ。共同制作自体はなかなか面白く、色んな発見や気付きがありました。ゲーム会社に在籍している人事やプランナーの先輩方がおっしゃっていたのはこういうことねーと分かったりして面白かったので、ちょっと語ってみます。まあ共同制作したことがある人にとっては、当たり前の話ばっかりだと思いますが。

 

制作規模・スタイル

気付きとかについて話す前に、今回、僕が体験した制作規模や制作スタイルについて説明しておきます。制作規模は

以上2名で制作していました。で、制作スタイルは、僕が仕様のような何かをテキスト形式でDiscordに放り投げ、それを受けてプログラマーさんが実装していく、というスタイルでした。Discordのチャットで、ほぼテキストのみでやり取りしました。

なお、担当は完全に切り分けられていました。僕は仕様だけを考え、プログラマーさんは仕様をプログラミングして実装することだけをやっていました。ただ、実装の都合上プログラマーさんに仮の地形や仮の画像を用意してもらったりしている部分も多々ありました(よくない)。

 

思ったこと

 制作規模とスタイルを説明したところで、本題に入ります。共同制作を進める過程で思ったことを語ります。

ゲームデザイナーに必要な能力

 結論だけ先に書くと、ゲームデザイナーは「ゲームを設計する能力」だけでなく「伝える能力」「受け取る能力」「画を作る能力」「資料作成能力」「無遠慮になる」「各役職の能力」が必要になってくるなーと思ったという話です。また、それらを磨くよりは自作能力を得たいなーと思いました。

 

 僕は普段一人でゲームを作っています。このとき、ゲームデザイナーとしての僕*1に求められる能力はシンプルです。

「魅力的なコンセプトを考える能力」「コンセプトを満たす仕様を考える能力」

一人でゲームを作る場合、この二つの能力を一定以上備えていれば満足のいくゲーム制作が出来ます。いや、まあ、それっぽく語りたいがために能力は二つって言っちゃいましたが、実際はコンセプトを考えるために既存のコンテンツを研究したりするわけで、分析能力言語化能力とかも必要になりますねハイ。

まあともかく、一人で作る場合は必要な能力も自己で完結出来るんですよね。ところが、二人以上でゲームを共同制作する場合はそうもいかなくなります。ゲームデザイナーの場合、自分が考えた最高に面白いコンセプトなり仕様なりを、チームのメンバーに伝える必要が出て来ます。

で、自分の脳内に存在するイカしたアイディアをメンバーに伝えるわけですが、そうするとメンバーから「ここの○○っていうのがちょっと良く分からないんですけど」って返ってくるわけです。そこで相手が何を分かっていないのかというのをしっかり受け取ってまた伝え返します。こうしたやり取りを円滑に齟齬なく進められる能力それすなわちコミュニケーション能力ですね。

そうこうしてプログラマーさんに実装を進めてもらう中で、「○○になっちゃうんですけど、ここの仕様どうします?」みたいなのが発生するんですよね。そのときに「しばらく考えるので1週間待ってもらえますか?」なんてした日にはプログラマーさんは1週間ヒマになっちゃうわけです。これは極端な言い方してますけど。ともあれ、そうなったら聞かれた直後に「そこはこうしてください」と答えられたらベターなわけです*2。これでプログラマーさんが1週間ヒマになることは防げました。素早い決定、もっと言えば素早いレスポンスが求められますね。

今回、僕が体験した共同制作ではほとんどテキストでやり取りしました。ただ、やってる最中に「これ、絵が描けたらはかどるだろうなぁ……」と何度も思いました。実際、説明のためにちょっとだけ図で示したりもしました。僕は絵が描けない人間なのですが、それでも十分伝えられるほどの力が図にはありました。そのため必要なのは「絵を描く能力」というよりは「画を作る能力」といった感じでしょうか。ただ、やっぱりちゃんと絵を描けたほうが伝えかたの引き出しが増えてやりやすくなるだろうなあとは思いました。

「伝える能力」の中に、「テキスト作成能力」「データ一覧作成能力」「画を作る能力」とかがあるわけですね(能力能力うるさいな)。これらはまとめると「資料作成能力」とも言えそうです(また能力って言った)。

資料!そう。資料作成能力もめちゃくちゃ大事だなと思いましたよ。仕様を伝えるときに何かしら資料を添えて伝えますが、そのときに「これって○○という認識で合ってますか?」といったヒアリングが多分必ず発生します。そこで解釈の不一致が発生しないような資料を作れていると強いわけですよ。実際、仕事で共同制作をしていたらお互い制作作業があるはずで、いちいち仕様の確認とかしてる暇は無いと思うんです*3。必要なことは全て資料に載っている状態なら制作もスムーズに行くんじゃないかな。まあ齟齬がないようにお互いちゃんと認識をすりあわせておくのも大事だと思いますが。

そうやって認識をすりあわせたのちに制作作業してもらい、出来上がったものを今度はチェックする必要があります。果たしてこれは要求した項目を満たしているのか?と。このとき、「あ、ここの部分がちょっとダメだ……」とかなったときにリテイクを要求しないといけないわけですよ。これ、めっちゃイヤ。人が一生懸命作った成果物を評価するわけです。いわば無遠慮になることが求められるわけなんですが……いや何様なんでしょうねまったく。実態は脳内にある「ぼくがかんがえたさいこうのげーむ」様の奴隷だと言うのだからいやはや笑えない話ですね。

まあとにかく人に頼んで作らせて出来上がってきたものを評価するわけです。でもちょっと待って。それ、ちゃんと評価出来てる?……思ったのですが、成果物の出来を正しく評価するには各セクションの能力・知識を一定以上兼ね備えておく必要がありそうなんですよね。グラフィッカーさんに発注して成果物をチェックするのなら、絵についての能力・知識が必要になりますよね。要求を満たしていればOKという見方もあるかもしれませんが、いずれにせよ良し悪しをチェックするならやはり一定の能力は必要な気がします。つまりゲームデザイナーは全方位に強くないといけない!なんてこった!逆に、各セクションの人達もゲームデザインに強くないといけませんね。ゲーム内のあらゆるアセットがゲームデザインに関連しているので当たり前と言えば当たり前ですが*4

 

 と、こんなところでしょうか。以上のことを共同制作している最中に思ったわけです。それで、ゲーム会社に勤めている人達が「ゲーム会社に入りたいならコミュニケーション能力を磨こう!」「チーム制作を経験しよう!」だとか「ゲームディレクターは決断する仕事」だとか言っているのがいっぺんに全部理解出来た気になり、この記事を書くに至ったわけです。めちゃくちゃダラダラ書きました。まとまってるかこれ?

 

 こうしてみると、ゲームデザイナーって大変だなあ。共同制作っぽいことをしてみましたが、伝達能力を磨くよりは自作能力を得たいなという気持ちになりました。チーム制作向いてなさそう。たった一回で判断するな。

「ゲームの設計能力」「伝える能力」どちらも言語化能力が大きく関わってきそうなので、ゲームデザイナーとしての能力を伸ばしたい場合、言語化能力を伸ばすのが一番効き目ありそうですね。

 

ゲーム会社の人達が「チーム制作を経験しておくといいよ!」って言ってたのもうなずけますね。ほんと色々と腑に落ちました。この辺が分かったのがうれしかったので、共同制作をやったのは良かったです。

 

……この辺りを理解した状態でチーム制作経験を更に積めばゲーム会社に入れるようになるのではなかろうか……

 

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……さ、個人制作に戻るか!(ひでーオチ)

*1:ゲームデザイナーを名乗るのはおこがましいし恐れ多いのですが、話を展開させる都合上ゲームデザイナーを名乗ります

*2:ベストはそもそも聞き返しを発生させない。発生前に潰す

*3:共同制作初めてやったので間違ってたらごめんなさい

*4:そもそもずっと当たり前の話しかしてませんねハハ