がむしゃらメモ

がむしゃらのメモ的な扱いのブログです

『魔銃ルヴァデルガ』のエネミー設計について振り返り

 年末の大掃除として下書きで眠ってた記事を公開。

なんとなく書く気分になったので、今更だけど、備忘録がてらササッと書いてみる。

ルヴァデルガを最後まで遊んでない人にはネタバレになるから気を付けてね。

基本チュートリアル ‐ 開幕~強個体登場まで

 連戦数は最大で3が限界だなと感じたので、そうすることにした。三体目で負けたときのしんどさが既にヤバいのだが、四体目で負けたときとか考えたくない。

プレイヤーHPについて。最初に敵を個別に作ってテストしていく際に、HP8でプレイしていた。で、これを初見プレイヤー*1が連戦するとなると…?→20だな!と直感で決めた。

初戦闘

まずざっくり敵データ羅列。

  • 一体目:1ダメージの魔弾一発
  • 二体目:2ダメージの魔弾一発
  • 三体目:3ダメージの魔弾一発

二戦目

  • 一体目:1ダメージの魔弾二発
  • 二体目:2ダメージの魔弾二発
  • 三体目:3ダメージの魔弾二発

強個体初登場

  • 強個体:1ダメージずつ上昇する魔弾一発

 

 開幕の三連戦は、わざと死のうとしない限り死なない…ハズ。ここで基本的な流れを体感してもらう。「連続射撃できれば大ダメージ」辺りが頭に入ってくれれば上出来。

続く三連戦では、ちゃんとガードできないと死ぬ。ここでガードシステムを学んでもらう。

最後に強個体登場で、フルバーストを見せる。連続射撃でちゃんとダメージを出せている&ガードができているかを問うために、徐々に攻撃力を上げて緊張感を高める。HPは低めに抑えて、あまり強くしすぎないようにした。見た目のモチーフは階段。

ここまでが基本チュートリアルとして作った。1ずつダメージが上がるシンプルな線形上昇は、ぶっちゃけるとゲームとしては面白くないが、基本を学ぶには必要な段差だと考えてこういう設計になった。

前半戦

 敵を作ると「自分はこのぐらいの強さが面白いけど、初見プレイヤーには難しすぎる」となりがち。そのため、必然的に「前半は弱めの敵を出して、後半の本番で強化バージョンを再登場させよう」と考えた。

四戦目
  • 一体目(雑魚):1ダメージずつ上がっていく魔弾二発
  • 二体目(強個体):毎ターンHP10回復する&3ターン毎に威力上昇&魔弾二発

 

 配置について。このあと「説明パートに行きますよ」って予告して、軽めの導入で戦闘が始まったので、全体的にそこまで強くしないようにした。

 一体目について。内部的には総攻撃力が存在し、2から始まって毎ターン1ずつ上昇していく。(1,1)→(1,2)と二ターンは固定でここからランダムで(2,2)or (1,3)のように展開が変化していく。個別の攻撃力をしっかりと見てガードしてもらうのが狙い。

 二体目について。一芸は再生。毎ターン10回復の仕様により、以下の二点を学んでもらう。

  • フルバーストできないなら、弾丸はなるべく溜め込んだほうがよい
  • 弾丸を溜め込むほど、最終的に与えるダメージが大きくなる

そのうえで、体験としては

「もう少し耐えてから攻めるか…?」

「しかし、もたもたしてると敵の攻撃が捌けなくなるぞ……」

という選択の悩ましさを作る。見た目のモチーフはウロボロス

五戦目
  • 一体目(強個体):溜め→全体魔弾→魔弾が一個ずつ減っていく→最後の一発強め→休みを繰り返す
  • 二体目(強個体):爆弾→1ダメージ魔弾二発→3ダメージ魔弾一発を繰り返す

 

 配置について。特殊弾丸である爆弾が登場する。爆弾を最初に登場させる特殊弾丸にしたのはふつーにミスかも。分かりやすさ的に毒弾のほうがよかったかもしれない。全体的な配置の兼ね合いや、吸命弾→呪弾の順序は必須だった、などの理由からなんとなく爆弾が最初になった。

 一体目について。一芸は弾幕。徐々に弾幕が収まっていくようにしたほうが、「攻撃が弱まってきてるからイケるぞ…!」と感じられるので、そのような構成に。ただそれだとさすがに弱すぎるので、最後の一発だけ強くした。とはいえ、二ターンなにもしないターンがあるのは弱すぎる気もしたが、メリハリを付けたほうが面白いのでがっつりチャンスタイムを用意した。ここでのHPは70で、上手いプレイヤーなら一回目の休み辺りで倒せるような調整にした。確定で2ダメージ喰らってしまうのはどうかと思ったが、少しくらいはそういう“汚し”があってもいいかなと思ってヨシとした。見た目のモチーフは特に無いんだけど、なんか周囲に弾丸が浮いてるみたいなイメージ。

 二体目について。一芸は触るな危険。というか、爆弾。爆弾初登場なので、魔弾での攻撃は緩め意識。1ダメージ魔弾×二発で、爆弾に当てにいく。素で受けても最大2ダメなので、とにかく回すことを覚えてもらうのが狙い。3ターン目の3ダメージ魔弾一発では、ちゃんとガードしてもらう。不発弾の気持ちよさをあるていど引き出すためにHPはやや多めの70。見た目モチーフはキノコ雲。

爆弾自体はゲームシステムが固まっていく中で自然に発想できる弾丸。シンプルに「○○してはいけない」という逆を考えて、「ガードしちゃダメ&撃っちゃダメ」で生まれた。後述するが、「完全ガードしちゃダメ」が毒系で、「撃っちゃダメ」が呪弾。で、爆弾はガードも射撃もできない&5回も回す必要がある、かなりストレスの強い要素なので、それを乗り越えたら“熱”×5ダメージの強力な弾丸に変化させる。苦労したぶん、嬉しいことが起こるようにする

六戦目
  • 一体目(雑魚):毎ターン魔弾三発&1ダメージずつ上昇
  • 二体目(強個体):二ターン溜める→9ダメージ魔弾を繰り返す(二回目以降は10ダメージになる)
  • 三体目(強個体):2ダメージ毒弾一発×2回→1ダメージ毒弾三発

 

 配置について。一体目は確定でダメージを受けてしまうので最初に出す。五戦目の弾幕が一体なのもそうだが、確定でダメージを喰らう敵は最初に出すことにした。三体目は慎重にやればノーダメージが比較的楽に可能なので、最後にする。こうすることで、「二体目に削られてヤバい…」→「毒…!やべえ~~!」→「意外と行けるじゃん!」になるように狙っている。配信で二名ほど遊んでいただいたが、両名とも狙いどおりこの展開になっていた。なお、後述するがこの「毒、意外と大したことないじゃん」もあとで出てくる猛毒のインパクトを高める伏線にしている。

 一体目。特に言うことないな……四戦目の最初に出てきた敵のパワーアップ版。三発攻撃してくるので、見た目は三本角みたいなイメージ。

 二体目。一芸は力溜め。パワーパワーマンと呼ばれた豪腕。「高い数値の攻撃をガードする緊張感&シリンダーに五発溜め込んで次のターンに進むテクニック」を狙った。後者は相当難しかったようで、遊んだプレイヤー全員がもれなく苦戦していたイメージ。HPは100。これは三回目の攻撃前に倒せるぐらいの調整。見た目モチーフは特に無いけど、とにかく身体と腕がデカいイメージ。

 三体目。一芸は毒。毒マンとか言われている。HP70。安全に相殺していくと時間がかかるが、強気で攻めていけばすぐに倒せるラインにした。見た目モチーフは花∥蔓、食虫植物とかそういうよくある植物系のモンスターのイメージ。

毒弾は「完全ガードしちゃダメ」の発想で作られた。完全ガードした場合、次のターンに撃たなければいけないプレッシャーがある。安全に行きたいなら時間はかかるが、相殺すればOKという作りに。そこまで強くなく、「ちょっと厄介」ぐらいの手間なので、プレイヤーにとってメリットを作らなかった。結果的に猛毒弾の前振り的なポジションに収まった。毒弾で敵も毒になるとか作ってもよかったかもしれないが、ゲーム的に意味が作れなかったのでナシになった。毒は毒!で収めた。

七戦目
  • 一体目(強個体):6ダメージの吸命弾をひたすら撃つ
  • 二体目(強個体):呪弾二発(1ダメ&2ダメ)→2ダメージの魔弾二発→呪弾二発(3ダメ&1ダメ)

 

 配置について。呪弾を解呪すると吸命弾になる、という仕様上、登場順番はこのほうが学習しやすいと判断した。

 一体目。一芸はHPドレイン。毎ターン強力なダメージを連発してくる。HPドレインがなせる技。HPは50。一見少ないが、HPドレインがあるので体感は結構長く戦う。見た目モチーフはコウモリ。

吸命弾はなるべく最後に撃つとよりHPを回復できる。「なるべく低いダメージで受ける&特定の弾丸を最後に撃てるようにする立ち回り」を要求する。回復の概念を生み出すので、あるていど大きなダメージを受けても勝てるようになる。シンプルで分かりやすい効果でバトル自体にメリハリを付けることができる。やっぱHPドレインよ。

 二体目。一芸は呪い。呪弾は二発ずつ撃つが、このときダメージに差を付けている。たとえば1ターン目の呪弾二発をそれぞれ1ダメージ&2ダメージとすることで、ノーダメージで防ごうとした場合に「完全ガード&相殺」になるようにしている。こうすることで、ガードした弾丸が変化する“感染タイプ”の弾丸は、相殺すれば感染を防げることに気付いてもらう狙いがあった。呪弾攻撃ターンのあいだに魔弾攻撃ターンを作って、多少解呪しやすくする。HP50。呪弾はプレイヤーの攻撃を抑制するので、HPが多いと間延びしすぎる。見た目モチーフはなんとなく不吉なイメージで。死神(鎌)と蜘蛛。

呪弾は最初解呪したら熱×3ダメージの弾丸とかにしてたが、どうも嬉しくない。「解呪でなにになったら嬉しいんだ…?」→「吸命弾だ!」と気付いて変更。ルヴァデルガ制作時のファインプレーの一つです。これも労力を報酬に変えるという考えかた。

 

後半戦

 ここからが本番。といっても、単純に前半戦で戦った敵が強化されて登場するだけなので特に書くことが無いかも。

出てこないのは、チュートリアルの“階段”と、大きい腕が特徴の“力溜め”の二体。ゲーム公開当時は力溜めも居たが、強すぎ&配置がキツかったのでアプデでリストラされた。

八戦目
  • 一体目(弾幕):弾幕攻撃が毒弾に変化した。HPも70→100に上昇。
  • 二体目(呪い):2ターン目の2ダメージ魔弾×二個の魔弾が呪弾に変化。
  • 三体目(再生):HP35→65。初期攻撃力2。

 

 配置について。死闘連戦の始まり。強化された強個体(分かりづらい表現だな)を三体叩き込んで洗礼を浴びせる弾幕は確定で2ダメージ喰らってしまうので、最初に置く。なので、二体目に呪いを配置して回復チャンスを用意する。そして三体目に“再生”を用意することで「こっちは満身創痍なのに、向こうは自動回復するのかよ!!」という絶望を用意する。

 一体目。“弾幕”は強くするの無理かな~と思っていたが、全部毒弾にすることを思いついて採用。さらにHP70→100にして、威力が上昇した二周目を確実に体験するようにした。うーん強い。

 二体目。攻撃が全部呪弾になって厄介度合いアップ。どの攻撃をどうガード∥相殺するか、取捨選択の難易度をさらに上げた。攻撃チャンスが減っているので、HPは上げずにそのまま。

 三体目。HP35→65&初期攻撃力強化で、ターン経過によるプレッシャーや、トドメを狙う判断のシビアさがより上昇。

 

九戦目
  • HPドレイン:吸命弾のダメージが6→10に上昇。

かなり強いので一体のみにした。言うことが無いな。

十戦目
  • 一体目(爆弾):行動が毎ターン爆弾一発に変化。HP70→200。
  • 二体目(毒):毒弾がすべて猛毒弾に変化。HP70→50。

 

 配置について。ホントは三体居て、二体目に“力溜め”が居たんだけど、強すぎ&長すぎだったので削除した。

 一体目について。毎ターン爆弾でバトルがちゃんと成立するのか?と思ったけど、試したら結構面白かった。不発弾がどんどん手に入るので、HPは200にした。運次第では被弾確定してしまうので、一体目にして理不尽感を少しだけ下げる。

 二体目について。このゲーム最強の猛毒弾が満を持して登場。毒弾の威力を上げるだけではインパクトが弱くて印象に残らないと考えて、ターン開始時効果発動かつ3ダメージにする凶行。結果的に弾丸を溜め込みすぎない&あえて熱を下げる装填といったテクニックが必要な難敵に仕上がった。相殺しまくる戦いになるので、HP70→50と逆に下げた。

最終決戦

キュラスキュラス

  • 1ターン目:2ダメージ五種の特殊弾丸
  • 2ターン目:1ダメージ魔弾& 1ダメージ毒弾 & 2ダメージ猛毒弾
  • 3ターン目:同上
  • 4ターン目:1ダメージ猛毒弾五発
  • 5ターン目:1~3ダメージ吸命弾五発
  • 6ターン目:爆弾
  • 7ターン目:4ダメージ魔弾五発
  • 8ターン目:10ダメージ魔弾
  • 9ターン目:2ダメージ呪弾二発 & 3ダメージ呪弾

以上、繰り返し。

10ターン目以降で基本ダメージが+2。19ターン目以降は+1。一周目はプレイヤーの弾丸数が少ないので、ダメージが高すぎると無理ゲーになる。そこで序盤の攻撃力を控えめにして、一周時のダメージ増加を高める。で、二周目以降は2ダメージ増加だと強すぎるので、1ダメージにする。同じ理屈で、9ターン目の呪弾の威力が2,3ターン目の毒弾よりも威力が高いのは、プレイヤーの弾丸が六個になっているから。

 

猛毒弾幕は二周目からプレイヤーの装填数+2のダメージになる。こうすればだいたいなんとかなる、ハズ。

吸命弾幕は一周ごとに1ダメージずつ上昇&最大5ダメージ。つまり、一周目1~3ダメージ、二周目2~4、三周目3~5になる。

爆弾と10ダメージ魔弾は一周ごとに一発増える。

 

 むちゃくちゃ強くした。このゲームにおける限界強度だと思う。一応、理論上はもう少し強くすることも可能で、HP500になりかけた時期もあったが、さすがに踏みとどまった。

1ターン目。ハッピーセット。『Slay the Spire』の【堕落の心臓】を少し意識してたと思う。インパクトを出したいし、こういうの好きだし、ラスボスは最終問題でこれまでの応用を問うわけだし、必然的にこの行動に行き着く。

2,3ターン目。爆弾と呪弾に対応させながら、吸命弾の撃ちどころを考えさせつつ、毒弾と猛毒弾を威力違いで織り交ぜてくる暴挙。不可避の削り。悪魔か?このゲームにおける悩ましさ濃縮果汁100%ジュース

4ターン目。「あなたはここで死になさい」という説明不要のメッセージ。「一手のミスが命取り」が本当に体験できます。このゲーム最強の攻撃。

5ターン目。ボーナスタイム。死なないなら全弾受けるのが理想なんだけど、それができる場面でもしないプレイヤーが居たようで、少し誘導が上手くいかなかった。

6ターン目。ボーナスタイムその二。ここで弾丸を撃ち尽くしてしまうと次のターンで困るんだけど、そのことが一切分からない。ちょっと理不尽が過ぎたかも。

7ターン目。猛毒弾幕の影に隠れてるけど、ここの攻撃もかなり強い。

8ターン目。ここ吸命弾にするのもアリだったかもなーといま思った。

9ターン目。1ターン目もそうだけど、呪弾なら猛毒弾をガードできるので、ここまでに戦った“呪い”や“毒”の敵とは少しだけ新しい展開が見られるようにしてある。あんまり効果無いけど。

 HP400。ここまでの敵の最大HPが200なので、少なくとも二倍以上にしたかった。プレイヤーのHPが20の場合、どんだけ粘っても25,26ターン辺りで敗北する想定。HP30ならもうちょい生存できるかも。ちなみに最速で17ターンぐらいで勝てるハズ。たぶん。

 

終わり

 終わり。ここまで書くなら合わせて全体の振り返りもしたほうがいい気がする。まぁ、気が向いたら。もう忘れつつあるから無理かも。

 

おわり

 

*1:ただし、プレイヤーの腕前はかなり上手い想定だった